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zengweiming 2020-06-29 00:30 原文

セミが鳴いている。どんな話をしているのだろうか、なんて思う。
導かれるまま木の近くへ行くと、やっぱり小さなお墓があった。
これを作ったのは、通っていた習字教室の先生だった。

高校一年生のある日、昨日の雨の匂いが残る中、車に轢かれた三毛猫を見つけた。
呆然と立っていると、先生は何も言わず猫を近くの木の下に埋めた。
そして、二人並んで、手を合わせた。

「書くのと、祈るのは、少し似てるな」

わかるような、わからないようなことを、先生は言った。

それでも、その言葉は今も頭をよぎる。
授業のノートをとるときも、誰かに宛てた手紙を書くときも、仕事でメモをするときも。
自分の名前を書くときでさえ、私は、何かに祈っていた。

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